ZAN ~斬~     ★SHINE★

この世は、残酷だ・・・。皆、羊の皮を被っている狼達。
この俺だって、所詮同じ川のムジナ・・・だよなぁ・・・。
ここ新宿歌舞伎町は、いつも、そんな無常観を感じさせる。身の毛もよだつ、ただならぬ妖気を街全体から感じていた。
ふと・・・俺の足を止めたもの。それは歌舞伎町の喧騒から逃れた公園。
四角いブルーシートの群れが異世界の扉を開こうとしているみたいだ。

「ボス?」俺が、声の出所に向かって、ゆっくり振り返る。
「なんだ?いきなりボスなんて言うなやぁ!」すると、目を白黒させながらボスと呼んだ男はいきなり腹を抱えて笑い出した。
「!?」俺は、なぜ、このチビ・・・もとい屋良に大爆笑されている意味が分らなかった。
俺は、あくまで公園の前で、立ち止まったつもりだった。
しかし、今、自分がいるはずの位置と、違っていたことに俺自身、思わず苦笑いするしかなかった。
俺は、足を止めたつもりがブルーシートの群れの中に侵入していたのだから・・・。
そんな俺の姿に屋良は「やっぱり光一さんは、表社会のほうが 似合いますね?」
少しだけ沈黙が流れた・・・。そして俺は「なぁんでやねぇん!・・・まぁ・・・な?そうだよな?」
俺は、チビ・・・じゃない屋良の人懐こい顔めがけて、パンチを入れるふりをして、二人でじゃらけていた。

俺は、裏と表の顔を持っている。しかし裏・・・闇社会では、あらゆる抗争に顔を突っ込むようなそんなやくざな世界とは完全に一線を画している。
あいつだけは・・・・絶対許さない!!!俺にとって、闇社会に通じることは、憎き相手をひっつかまえて恨みをいや家族の幸せを奪って、のうのうと生きている奴を成敗してやることだ!!

新宿の街の片隅で、息をひそめるように生きているホームレスの姿に俺はいつか見たあの背中を脳裏にだぶらせていた。
「光一さん?もう帰りましょうよ。もう今日は、これくらいにしときましょう!!」
屋良は温かそうに顔を上気させながらぬくぬくとダウンを着ていた・・・・。
このやろう!内心、思いながらも俺も、ダウン着てるし・・・・。誰に当たることもできひん・・・。
耳元を凍て付くような冷たすぎる風がヒューンと音を立てて通り過ぎていった。
「さ!飲みに行くかぁ!!」俺が屋良に向かって、また足を大嫌いな街に向けた瞬間。
「えーーーーー!さっきまで浴びるほど酒飲んでいたじゃないですかぁ!」
「そうだっけ?」屋良の顔がやたら顔が赤くてあったかそうな服装しやがってなんて思ったけどそっかー!俺・・・ちょっと記憶なくすほど飲んでたみたいや・・・。
俺の名は・・・・なぁんて格好つけるの苦手なんだけど一応・・・堂本光一っていう。
「一番光る」なんて・・・俺の親ときたら今の俺の正体を知ったら「名を返上しろ!汚名を返上しろ!」って言われてしまうやろなぁ・・・。
ましてや、この闇社会で、真っ先に光ってもなぁ・・・・。
なぁんて話を延々と酒の席で屋良にしていたらしいのだ。屋良にしてみれば迷惑な話なのだが、ボスに付き合うことは絶対。
もう限界を感じた、屋良は店員に頼み、コニャックのボトルの中身をウーロン茶に変えてもらった位だ。
時計を見ると午前0時を回っていた。俺が正体不明になる前にどうやらあいつに電話していたらしい。多分、べろんべろんだったから日本語として通じてたのかさえ今は疑問。
店を出ると街のうるさすぎる色とりどりの明かり背にして歩いていた・・・いや歩いてるというものではなかったらしい。
屋良が小さい体で必死に支えてくれていたという。悪いことをした・・・。
そして、俺は公園の前で現実を目の当たりにしたのだ・・・・。
光一の様子を見ていた屋良は、少し誇らしげに見つめていた。

そこへ爆音とともに、やってきた男。
「来た!」屋良は、すぐ誰か分った。ブルーシートの公園の横道に、あまりに場違いなハーレーが参上!!
「おらぁーーー!こういちぃーーーー!!」ハーレーに乗った、黒の革ジャンを着た、その男に光一は「よ!相棒!」と軽く手を振ると「乗れや!」そういうと光一はサイドカーに乗り込んだ。
屋良は、やれやれと思いながら、「あーー!俺は、どうすればいいんすか?」
「バーカ!タクシーでも拾って帰るんだな・・・」黒ずくめの男にバカ呼ばわりされて、悔しそうに地団駄を踏みながら「長瀬さんのような大バカに言われたくない!」と小声で言うと風のようにその場から一瞬に消えていなくなってしまった。

「あいつ・・・NARUTOみたいだな・・・・」黒ずくめの男は、そういうとエンジンを全快にして夜のまばゆい光の中、ハーレーを駆って行った。
「俺も、ハーレー、ぶっ飛ばしたい・・・・」
「あほ!ばりばり飲酒運転じゃぁ!!しらふのときに、乗れよな!」
「ほ~い!ほい!」と言うと俺は、サイドカーでブンブンとアクセル吹かす真似をしていた。
隣から、「あほ」と言われているようだけど、ハーレーの爆音にかき消されていた。

今夜は、月がやたら綺麗だなぁ。

" ZAN ~斬~     ★SHINE★" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント