★☆斬 ~ZAN~  ★第八章  宿命の男 ☆★

「屋良っしゃい!」では町田から受け取ったチップのデータ処理をしているまっ最中だった。
ボスは知っていた・・・・。本当の敵は山下ではないことくらい。

黒幕の存在に一同は固唾を飲んだ。ただちにデータはボスの光一の元に送信された。
光一はPCの受信されたデータを読むと、ますます事態の核心へと導かれていることを感じて、すぐさま叔父に連絡を入れて、ある計画のことを持ちかけた。

「しっかし、なんで俺なんだよぉ~!!」

長瀬がボスからの指示に、事務所で、すっかりごねている。
屋良は、やれやれ・・・・とため息をつくと「ボスが、仇を討てなくても、いいんすか?」と痛い一言を図体のでかい男に言い放つ。
「なんだぁとぉお!こらぁ!誰に向かって言ってんじゃぁ!この○△*!」

秋山に制止された長瀬は、「まぁ、いいや!俺がいないと解決しねぇってことだな!」
メンバーたちは「うんうんうん!!」と大きくうなずいた。

ただちに情報屋の米花が動いた。目指す相手をおびき出すのだ。
それも、麻薬の取引場所まで・・・・・。

長瀬はボス・・・光一直々のミッションであるなら・・・と大口叩いて出て行った。
自慢のハーレーをぶっ飛ばして。
その後をそっと秋山と米花が付いていく。
ヤクの密売人より今は長瀬の動向のほうが気になってしまう。
「持ち逃げされるかも・・・・。」メンバー誰しもが、一抹の不安を憶えた。

長瀬のサイドカーには大金が積んであるのだ。偽札なんかは通用しない。
だからこれが、どんだけやばいことか・・・・メンバーは祈っていた・・・・・・。

そんなメンバーの深い祈りも露知らず明らかに、長瀬は、やばい相手と対峙していた。
「だからぁ!お前らのボスに会わせろって言ってるのが、わかんねぇのか?」

長瀬がわめく。
「そんな必要あんのかぁ!?あぁあーーん!?」」相手も動じない。
しかたねぇなぁ・・・・そんな素振りで、胸ポケットから長瀬は一枚の(にせものの)名刺を渡した。
相手が、横柄に受け取ると、一瞬で彼らの顔色が一変。

相手のボスを呼び出すことに成功した。
長瀬が、持たせられた取引額は、「50」・・・万ではない桁が違う。億である。50億円なのだ。
ボスは、これくらいの金額を見せないと、彼は自ら、姿を現すことはないだろうと踏んだのだ。

相手の「覚せい剤」もアタッシュケースに、ずっしり詰まっていた。

長瀬は、挨拶もせずに消えた、あの男の顔をどこかで見たことがあるな?と感じながら、隠すように止めていたハーレーに乗り警察署に向かった。
「長瀬か・・・」
松岡は、口元をゆっくりと歪ませ微笑んだ。

長瀬は署内で待機していた係長たちとヤクが本物かを確かめて、本物と分ると直ちに捜査官を手配してポルシェを追わせた。長瀬が係長にボスと呼ばれた男の顔写真を渡す。

米花が現場の写真を撮って長瀬の大事なハーレーに貼り付けていたのだ。
係長も剛も、松岡のやっていることは、ここまできたら、もはや、「おとり捜査」だとは思っていないかった・・・。

長瀬は協力者として、この道のエキスパートである。
密売のシンジケートを発見するための・・・・・。

しかし、事務所で、あれだけごねたのは、ただ単に見たいテレビがあったから。
なんとも、長瀬らしいではないか・・・・。



ヤマが大きく動き出した。それは新聞紙上前代未聞の大事件であった。

「皮肉なものだ・・・・・」と無情に笑うと光一は自室から、あの伝説の妖刀「龍神波動念剣」を取り出した。

剛は早速、松岡を追った。山下は、あくまでスケープゴートとなっている。
その間に、署は動いた・・・松岡が主犯だったのだ・・・・これは署内の【汚点】以外の何者でもない。

係長は、部下たちに、くれぐれも、こちらの指示に従ってくれと。ゆっくりと松岡を追い詰めてゆくように指示をした。
光一には、警察よりも早い段階で、松岡に接触してもらわなければならないのだから。
事務所では米花と屋良がボスからの伝令を待った。米花は、松岡の動きを逐一、光一に伝えた。

光一はフェラーリを駆って、松岡のポルシェを追う。
都心を抜けて、松岡はどうも長野の山中に身を隠すらしい。

松岡のポルシェには小さな発信機が仕組まれていた。米花が山下グループの駐車場に止めてある車に発信機を装着するくらい朝飯前だ。



「まさかの山下グループ倒産」という文字が一面を飾った。マスコミも俄然、色めきたった。

ニュース速報で、誰もが、山下グループ前社長の悪行に驚愕し、憤懣やるかたない思いになっていた。


その一方、米花から、光一のフェラーリの後方10km地点において、追尾するような車両があるとの連絡が入った。
光一は、分ったとだけ告げた。多分、あの新人刑事の剛くんだろう・・・・・。

「やばいな・・・・」・・・こう、ひとりごちたのは、新米刑事くんに対しての、それではない。
山道のカーブで松岡に事故に遭われでもしたら困ると感じていた。
そして光一は、自然にアクセルを踏んだ・・・・ゆるやかなカーブで少し減速するとまた、アクセルを踏み込む・・・・。

もう、深夜をまわっている・・・。時々すれ違うのが大型ダンプ。
光一は、そのたびに、ぞわっと寒気に襲われる。。。。。。
今、こんなところで松岡に死なれたら困るのだ!だから、頼む!

どうか、間に合ってくれ!!


かたや、松岡は、そろそろ、このへんでいいだろうと、山中のモーテルに泊まることにした。

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