★☆斬 ~ZAN~  ★第四章  闇と光  ☆★

がらーーーぁんとした事務所は、いつもの騒がしさとまったく違う趣をもっている。

「そっかぁ・・・皆、パクられちまったかぁ・・・・遅かった・・・」
そうして口元にフッと笑みをたたえると、いきなり今度はメンバー全員の名前を呼び始めた。
「なぁがせぇ~っっ!」「チビぃーーー!」「米ちゅわぁーーーん!!」
おかしいなぁ・・・みんな、いないなぁ・・・ぶつぶつ小声で言いながら、どかっとソファに座った。

すると・・・ガタガタガタッとロッカーが揺れ始めた。
そして、そこから出てきた一人の男・・・・。
「ちょっと待ってくださいよーーーー!なんで俺を忘れてるんですかぁ!酷いじゃないですかぁ」
「お前・・・誰だっけ?」ボスに言われて、秋山は、ほとんど涙目になっていた。

他のメンバーも、嬉々として、あっちから、こっちから出てきた。
「もう解決したみたいですね?ボス!!」屋良が言うと光一は笑顔で頷いて彼の頭をぐいらぐいらと撫でた。

嬉しそうに屋良は「痛いじゃないですかぁ!ボスぅ♪」と言って、光一の顔をまじまじと見つめると。
「うん!お前が、それ以上大きくならないように呪いをかけたの♪」
うひゃひゃひゃひゃ・・・と光一のいたずらっ子のような笑いが飛び出すと、ふと、米花が、誰かもう一人いないことに気づいた。

がちゃ・・・。長瀬がトイレから出てきて、やっとオールメンバーが揃った。
「随分、長かったね?」
光一に突っ込まれ、「おおおよ!ビッグビジネスしてたからよぉおお!」
「????」
光一は何を言ってるんだ?という顔をしていると、秋山が「ボス・・・・・それは○○コのことですよ?大仕事だからということに引っ掛けて・・・・」と説明。

光一はバタくさいフェイスの持ち主にむかい、すかさず「秋山・・・・顔がビッグビジネスだ・・・」と言い放った。
長瀬は腹を抱えて笑うし屋良も米花もひぃひい笑った。

ガサ入れの件は、光一の叔父に手を回して貰うことで落着したということをメンバーに伝えた。
メンバーにとってボスの叔父が刑事というのは周知の事実である。
米花にとっても、警察と内通していることは一番、仕事がやりやすいし、叔父には闇社会の情報を事あるごとに伝え情報交換をしている。

そして光一は居心地のいいソファから、ゆっくり立ち上がり「社長室」へと歩いてゆき、ドアに堂々と書かれた黒マジックペン(太)の落書きを指差した。
長瀬は「やべぇ!」と言いながら、「あぁ・・・ぁれはなぁ・・・俺が、ちょっと遊び心?っていうの?そんな感じで書いたんだよ・・・」
「・・・・・長瀬?いつから断りもなく、社長になったんだ?ましてや、その偽社長が会社の金を使い込みしてたなんてな?」

光一に全て見抜かれたと分ると長瀬は即刻、尻尾を巻いて逃げる体勢に入った。
すかさず、屋良は、「あーーー!やっぱり犯人は長瀬だったんですねぇ!秋山!撃ってしまえ!長瀬の大嫌いな注射より痛い麻酔銃!!!」メンバーにとって、長瀬は、もう手に負えない猛獣のようだということか?

秋山はすかさず、ソファの中にひそませた銃を取り出した。
米花は、玄関をガードして逃げ道をふさいだ。

光一は、ゆっくりと長瀬に向かって語りかけた。
「そんなに金に困っていたのか?生活苦しかったのか?」
長瀬は、いつにもなく真剣なボスに正直、ちびりそうになるほどの威圧感を感じていた。

ふぅーーーーと大きく息を吐いた光一は「分った。その金は俺が立て替えておくから、屋良・・・後は、頼むなぁ」
「はい!・・・・・でもボス・・・長瀬をこのままにしていて、いいんすか?」
そうだな・・・と少し考えて光一は「じゃぁ、長瀬は一週間、事務所出入り禁止にする!」


長瀬は、実は住むところを持っていなかった。事務所をねぐらとしていたからだ。

「まぁじでぇーーー!あーーーぁ!!!俺って、なんて馬鹿なんだぁ!!!」

「今頃、分ったの?それに・・・長瀬?出入り禁止は、たったの一週間なんすよ?」
屋良に諭され、ギャーギャーわめいていた男が途端に「え?そうなのか?」
そうと分ると、何を勘違いしたのか、まるで天下を取ったかの様に「ふわっははっははぁ!」と余裕で笑っている。

金もないのにどこに泊るのだろう・・・。
メンバーは内心「自分のアパートだけには絶対、泊めない!!」と、傍若無人な長瀬に対しては、冷ややかだった。


「じゃぁ。・・・俺は、戻るから。」
光一は、メンバーに見送られて、事務所「屋良っしゃい!」を後にした。




「あ~あ!!もう、やってらんないっすよぉ!!!」
田口は、そういって理事長である光一を前に、すがるような目で、訴えた。


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