★☆斬 ~ZAN~ ★第三章 闇社会の愉快な仲間たち☆★

「屋良(やら)っしゃい!」という看板は「いらっしゃい」にかけているのか。
何軒も連なる雑居ビルの中の、ひときわ目立つ看板に、通り過ぎる人々は失笑。

4階建てのグレイの雑居ビル。その中の事務所こそ、光一の闇の顔の一部。
オーナーである彼の息がかかっている。
屋良を初めとした光一の頼れる仲間(メンバー)がいた。

ここの事務所は泣く子も黙る高利貸し・・・所謂、ヤミ金である。そこを任されているのが屋良その人である。
事務所は意外にも整然と綺麗に整っている。
ここのシマを取り締まるドンでもある光一は「綺麗なもの」や「本物」に、こだわることこそ、闇社会の美学だというのが持論。
ソファは茶色の革張りの応接セット。部屋の片隅には、大きく葉を茂らす立派な観葉植物。
その脇にはメンバーのロッカー。その隣には木目の重厚なドア。

「社長室」という金のプレートの横に、「俺様の部屋」と落書きがしてある。
大きなデスクには小さな屋良が計算機を片手に帳簿をにらみつけている。
「おかしいなぁ・・・・」
さっきから同じ事を呟いている屋良に対して、秋山が「チビ・・・どうしたんだぁ?」と声をかけると、屋良は「いや・・・・なんでもないから大丈夫」と言って、また計算機をカタカタ鳴らし始める。

そうこうしているうちに「ピンポーン♪」というチャイム。
中にいるものは誰も応じない。がちゃ・・・いきなり入ってきたのは花屋の米花だった。
しかし、その顔はいつもの陽気な彼ではなかった。
「すまない!皆!今からガサ入れがあるみたいなんだ!」

事務所にいた、秋山、屋良は一瞬にして凍りついた。

そこへ、「よねちゃーーーん!!今の話、本当なんだろうなぁ!!!!!」と社長室の扉をばーんと開け放ちながら、のっしのしと、米花に近づく。
「情報屋のお前が今まで、何してたんだぁ?あーーーーーーぁん?!」というと米花は必死に事情を説明しようと試みた。
屋良は、そんな熱い男・長瀬をじとーーーっと見つめ一言「この大馬鹿やろう!」といった。
米花に向けた怒りの矛先が今度は屋良に向いた。


「とにかく、落ち着いてくださいよ!!」そういうと、秋山が携帯で光一に連絡をとっている姿がある。
「俺たちがビビッて、どうするんすかぁ?とにかく今は、様子を見ないと」
「おおお・・・。そうか・・・そうだな・・・」長瀬が納得した様子で、振り上げたこぶしを静かに下ろした。



秋山からの連絡に光一はすぐ行動を開始した。
もう昼時で光一たちスタッフは、お年寄りの昼食の準備に追われていた。
光一は料理は得意なほうではないが、なんとか野菜を洗うとか後片付けをしながら作業の段取りをしていく。
今は、大学生のボランテイアも4人来ていてくれるから、とても助かるのだ。

秋山からの電話を冷静に聞くと、光一は着替えるために自室に戻るといい、傍で、ジャガイモを切っていた田口に「後を頼む」とだけ伝えた。


光一は、あるところへ電話をしていた。
静かだが、とても威厳のある話しぶり・・・・。「では、はい。そういうことでしたか・・了解。あとは、こちらが」
ゆっくりと受話器をおろすと、クローゼットを開いて着替え始めた。



程なく、光一は事務所に付きチャイムは鳴らさずズカズカと事務所に侵入。


「おらぁーー!ガサ入れだぁーー!覚悟しとけよぉおおお!!!!」

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