★「ID」~核心に迫る瞬間(とき)~★SF小説

KOH-1は、コーヒーを飲みながら、話を続けた。

それを見た2-YOSHIも、コーヒーを一口・・・話を聞いている。

「ヒューマノイドは人類によって造りだされた事で人間が創造主であるという概念を植えつけら

れてしまったんだ。だから、ヒューマノイドは、どこまでも人間に忠誠を尽くしている。

まったくもって、人類は、どこまでも自己中心で愚かだよ・・・・」

KOH-1は、自虐的にフッと口元をゆがまぜながら笑う。

「・・・。でも、今は違うやん。」

2-YOSHIが口を開いた。

「人間は、そんなに捨てたもんやないと思うでぇ。少なくとも、お前みたいな奴がいる限り。

それに他の人間たちも今は、自然と調和した生き方してるやぁん。それって、過去をきちんと

反省しているからこそ出来ることとちゃうの?」

KOH-1は2-YOSHIの言葉にハッとした。嬉しかった・・・・。

でも、これから2-YOSHIに話すことは、KOH-1にとって、いよいよもって核心に迫ることで、

気持ちを重くした。

時計の秒針が聞こえる・・・・。時は流れている。KOH-1は、話を切り出した。

「俺は、ヒューマノイドに対して抱く疑問があって<人間の死>というものをどう理解するか?と

いうことと、命に対する尊厳を持てるのか?ということだったんだ。生身の人間からすると、ヒュ

ーマノイドの存在が時に脅威にすら感じるだろうと・・・。」

本気で言ってるのか?と反論したい気持ちを2-YOSHIは辛うじて押し殺す。

「それで、俺が死んだことにして、ヒューマノイドの動向を陰ながら見守ることにしたんだ。」

2-YOSHIの太ももに乗せた握りこぶしが、わなわなと震えだした。


「それって、ヒューマノイドに対する侮辱やないか?!何、考えとんねん!?」


家中に2-YOSHIの怒りに満ちた声が響き渡った。

リビングにいたRAINとジュニアは、お互い不安げに顔を見合せるとKOH-1達のいる部屋をじっ

と見守ることしかできなかった・・・・。

「いや・・・・。ヒューマノイドだけじゃない。人間も同じさ・・・。」

「!?」

「人間が暴動を起こしかねないケースも今後、出てこないとは限らないからね?確かに今のと

ころは、大丈夫だとは思うのだけどね?」

KOH-1は、遠い未来にまで思いを馳せていた。

「KOH-1は、何もかも一人で重い荷物を抱え込むクセ、変わってないんやなぁ。」

2-YOSHIは、そんなKOH-1を眩し気に見つめて

「・・・・・赦す。」

「え?」

「生きていたことを俺に隠してたこと!そりゃぁ、最初は腹立ったけど、赦すわ!」

2-YOSHIはKOH-1の想いの全てを理解した。

KOH-1は、しっかりと大地に足をつけて今を生き、その目は未来までを見据えている。

2-YOSHIは、今も昔も、そんなKOH-1が誇りだった。

「KOH-1・・・・話は終わりだな?」

「え?あ・・・まぁ・・・。」

KOH-1が、こっくりと頷くと

「やったぁーーー!KOH-1が生きとったぁ!!

いきなりKOH-1に抱きつくと

「うげっ!!そんなに強く抱きつくな!本当に死んでまうぅーーーー!」

KOH-1も2-YOSHIも、やっと、ここにきて喜びの再会を果たすこととなった。

部屋から、喜びを分かち合うなんともいえない奇声が飛び交うと

それを耳にしたRAINとジュニアも一様に胸を撫で下ろした。


「母さん・・・・今夜も、パッとご馳走だね?」


RAINは、慌しくキッチンに向かった。目には、うっすらと涙を浮かべながら・・・・。


~つづく~




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この記事へのコメント

Rain
2007年07月16日 20:29
ひと言、ひと言、選んで慎重に話しているKOH-1の姿が眼に浮かびます。
それだけ重い話しなんだよね。彼にとっても2-YOSHIにとっても…。
2007年07月16日 23:28
さすが、2-YOSHIさんとKOH-1さんの仲ですわ。全ての想いを理解できたんだね…。
「やったぁーーー!KOH-1が生きとったぁ!!」
んふふ♪可愛いのぉ~♪良かったね。それが何より、一番嬉しいことだよね♪
SHINE
2007年07月17日 13:35
>Rain
うん・・・。私自身もね?答えの見つからない話だから悩みながらも、KOH-1に想いを語らせていました。
究極、お互い(ヒューマノイドと人間)の存在意義ってなんなのかって話になるでしょ?
難しいです・・・重いです・・・。
SHINE
2007年07月17日 13:59
>チビにゃんちゃん
今は、なんとか一段落ですなぁ・・・。
再会の喜びに思う存分浸る2人は、やっぱりこうじゃなきゃあね?
まだまだ、KOH-1にも、2-YOSHIにも、それぞれが抱える問題が山積しています。それを2人で、どう解決してゆくかがポイントで・・・。
どうしよう・・・・。私の、頭を悩ませます・・・。(笑)
自分で書いてて、こんなに苦労するとは思いませんでした。
なんとか挫折せずに最終回(先の見えない)まで続けたいです♪

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