★「ID」~futari~★SF小説

「なんで、KOH-1が2人もおるねん・・・。」

あんなに会いたかった存在が目の前に2人も立っていた。

2-YOSHIが呆然と立ち尽くしていたところをRAINに、まずはあがってちょうだいと気遣われて

リビングへと案内された。



完全にパニックになっている2-YOSHIを見かねたジュニアが

「2-YOSHIさん・・・ボク、KOH-1ジュニアです。」

と自己紹介をした。

「え?ジュニア?君が?こんなに大きくなったんやぁ・・・。って。え?じゃぁ、こっちは?」

KOH-1を二度見した2ーYOSHIに対し

「2-YOSHI・・・。俺が正真正銘のKOH-1だよ。詳しい話は、これから2人でしたいと思う。

その前に軽くジャブをかましてしまったけど・・・。」

軽いジャブどころか、完全にKO決まりそうだったじゃん・・・とジュニアは、思いつつ父親は本当

のところ2-YOSHIの反応が読めていたからこそ出来たことだと痛感した。

いきなり本人が登場するよりも自分が最初に出迎えたことでワンクッション置いたほうがいいと

考えたのだ。

それにしても、一杯食わされた形になった2-YOSHIには、痛く同情したジュニアだが、そんな

息子の気持ちをよそにKOH-1は早々に書斎兼応接室である自分の部屋に2-YOSHIを招き

入れた。


久しぶりの2人の間には張り詰めた空気がそこかしこに漂いはじめていった。

どちらともなく、まずは2人、ソファに腰をおろした。

向かい合うと、ますますもって、ぎこちなかった。

そこへRAINがコーヒーを運んできてくれた。部屋の中はコーヒーの香りに満ち、緊張感をときほ

ぐしてゆく・・・。

「ありがとう。」

「おおきにぃ・・・。

2人の言葉が重なった。RAINは、にっこり微笑み何も言わず部屋を後にした。


KOH-1は、まず今まで生きていたという事実を隠していたことを詫びた。

2-YOSHIは、それでも納得できないという表情を見せて憮然としている。

それは「自分にこそ、教えるべき事実の筈。」という一念からだったし、当然KOH-1も、そんな

2-YOSHIの気持ちは百も承知で話を進めて行く。

「俺が、まだ人間であることを知らされずヒューマノイドと思い込んで、お前と一緒に楽しく過ご

していた頃を思い出すなぁ・・・。」

「あぁ・・・。」

「そして、俺が人間だと分かったとき・・・戸惑う俺に、たとえ人間だとしてもKOH-1はKOH-1だ

と言ってくれたよな?」

「うん・・・。そうやったなぁ・・・。」

2-YOSHIもKOH-1も懐かしそうに、その当時のことを振り返っている。

「俺は、その時から人間には寿命があるということと向き合い始めたんだ・・・。ヒューマノイドに

は、寿命がない。人間は、限りある命を生きる儚い存在なんだって・・・。」

「・・・・・。」

「だからこそ人間は短い人生を懸命に生きることが大切なんだ。哀しいことに俺の先祖である

人類は私利私欲をむさぼって挙句に地球を壊滅的な状況に追いやるという失態を招いた。

こうして生き延びた人類は、これから地球に対して、ずっと償い続ける気持ちを忘れてはいけ

ないんだ。」


2-YOSHIはKOH-1の言葉を黙って受け止めていた・・・・・。

~つづく~

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この記事へのコメント

Rain
2007年07月14日 13:18
おー。こっちもなんだかじれったいというか、微妙な空気が流れていますなー。でもさ…人間である初代KOH-1(?)には寿命があるんだよね?
今度こそっていうのは変かな?でも2-YOSHIにはもうそのときの覚悟、出来ているかもしれないね。
SHINE
2007年07月14日 13:47
じらして、すまぬ・・・。ここからストーリーの根幹の導入部なので、この、じれったさ、まどろっこしさは、少々、我慢してね?(笑)
ちなみに、KOH-1ジュニアも人間です。だから二世は次の世代の子供を産むことになります。地球には、その生き残りの人間がいて次々に子供を育成しています。その役割を担うのがRAINである育成型ヒューマノイドなのです。お産のお手伝い・・・お産婆さんのような存在かな。

2-YOSHIの覚悟。うんうん!さすがRainちゃん、鋭いね♪
そのくだりは、もう少し先だけど、うんうん!私の「伝えたいこと」を分かってくれて嬉しいよ♪
SHINE
2007年07月14日 15:37
>Rainちゃん
上もRainちゃんへのレスです。
肝心なことを書き忘れました。そうです。KOH-1は寿命があります。
人間は皆、寿命があります。ヒューマノイドとの決定的な違いですな。
愛戦士桜
2007年07月14日 22:56
じゃあ おとんのKOH-1はこのままだとまたじーさんになってしまうの?
…ジュニアとKOH-1って同じくらいの世代に見えるのかな、すんごい複雑だよね(爆)あっさり淡々としてるようにも見えるけど2-YOSHIすごい冷静だよね、そのへんは人がもつ感情とはまた少し違うのかな、ほんと複雑だ。
SHINE
2007年07月15日 01:02
>愛戦士桜ちゃん
そうだよ。悲しいけど人間は年をとるのよ・・・。じいさんになるのよ。
それでも、神々しいばかりの、じいさんにKOH-1はなると思うよ(笑)
顔立ちが、そっくりなんだよ。この親子は・・・。遺伝子が特殊だったもので。KOH-1の両親の遺伝子のバイオから調合されたものから純粋な人間を生み出すことに成功したからね?
この親子が似ているのは当然なの。。。。身長以外はね?(爆)
2-YOSHIは冷静を装っているだけかもですよ?
次回にわかると思います。
2007年07月15日 02:02
人間には寿命があって、年を取る…って事を、SHINEさんがどう考えて、今後の物語を進めていくか…すごく楽しみです。
ヒューマノイドのように、その生に終わりが無いモノも、命を輝かせる事ができるのか…すごく興味あるし。
RAINもヒューマノイドだったんだよね。読んでるうちに、人間な気がしてた。彼女の生も悲しいですね。愛する人を次々見送らなきゃいけないなんて。次回を読む前に、ちょこっと前回までを読み直してみます。
SHINE
2007年07月15日 15:12
>てるひさん
ラストの構想は決まっているのですが、てるひさんの仰る通り「人間の寿命」の捉えかたというのがねぇ?KOH-1目線で語ることにしているのですが、KOH-1は達観していますが、そのほかの人間は?というところでしょうか?
優等生タイプのKOH-1ですから、それをヒューマノイドである2ーYOSHIが
うまくフォローしてくれたらいいなぁと思っています。

RAIN・・・そうなんですよ。ヒューマノイドなんです。でも、KOH-1ジュニアの産みの親なんですよ。なかなかスゴイ話でしょ?(笑)
何でもありなSFですから・・・。
そうですね?RAINが一番、人間の生き死にを理解している存在だと思います。お産婆さんをしているということから「命」に対する尊厳を持っている希少なヒューマノイドの一人です。

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