★「ID」~人間・その脆弱なる魂~☆自作SF小説★

火星から一時帰還した、2-YOSHI率いるヒューマノイド達は、それぞれがホームステイするな

どして、火星の現状を報告する任務に就いていた。

2-YOSHIは、ジュニアへの複雑な胸中を払拭したいと、やってきた筈がKOH-1の生存に拍

子抜けしてしまい、いまだジュニアに詫びる機会を探せずにいた。

KOH-1自身も、当のジュニアにさえ、2-YOSHIの想いはひしひしと肌で感じてとれていたが、

お互いに一切、そこには触れずに日々を過ごしている。

そんなある日、2-YOSHIは、一部のトップシークレットメンバーとの会議についていた。

KOH-1は、この会議には、席を置いておらず、不安げにあたりを見回す2-YOSHI。

先行き困難な「火星再生プロジェクト」の現状をつぶさに報告し、有識者からの改善策を仰ぐ形

となる場だった。

今の地球上では、日本という国で肌の違いのある人間同士、そしてヒューマノイドが共存して

いる。ここでは雅な四季が味わえる、まさに、この世の春を謳歌していた。

しかし、その影で大勢のヒューマノイドの気が遠くなるような尽力があったという事実を忘れて

ほしくはない。

窓辺から降りそそぐ初夏の木漏れ日に目を細めつつ2-YOSHIは、ふと。そんなことを考えて

いた。

KOH-1がいみじくも言っていた。

「人間とヒューマノイドとの共存の危うさ」

2-YOSHIの心にも重い影を落とし始めた・・・・・。


「俺たちが、人間にお膳立てしすぎただけさ。」

落ち込んで、帰ってきた2-YOSHIにKOH-1は、こう言うと

「なんや・・・やりきれんわぁ・・・」とソファの背もたれにどっかと身を投げる。

火星においては最終的に地球に今いるヒューマノイド全てが移住し、地球を人類に委ねる事に

するとトップシークレットから提言されたのだ。

2-YOSHIは、そこに「待った!!」をかけた。

「なぁ?KOH-1?俺はなぁ?人間は好きやねんなぁ?でもな?一度、地球を殺しかけた人類

を信じていいんか、正直、分からなくなってン・・・。」


「人間は、弱い存在だからな・・・・。」

静かにKOH-1が語る言葉は、未来の人類に対する不安を象徴するに足るものだった。


~つづく~

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この記事へのコメント

2007年07月31日 19:39
地球を人類に返す(そういうことになるよね?)2-YOSHIだけじゃない。再生に尽力してきた全てのヒューマノイドは、ないがしろにされている…って感じるだろうね。心があるといいながら、扱いは老齢も寿命もないロボット並だもん。勝手だと思われて反乱起されても仕方ないし。起されたとき、困るのは人間だと思うけど?人ってさ、自分で自分の首をしめることってよくあるもんね。弱い?愚か?なんだよね。
SHINE
2007年08月01日 12:25
>Rainちゃん
その通りなんですよねぇ・・・。過去の傍若無人ぶりを目の当たりにしたら、ヒューマノイドは人間の都合のいい情報を埋め込まれているので絶句すること必須。反乱起こされても仕方ない。
人間の業は深いんだよね?いつまでも、愚かな存在なのか?
さて、主人公は、このジレンマに、どう向き合い解決してゆく道を模索するのでしょう?

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