ZAN ~斬~     ★SHINE★

俺は、堂本剛。今日付けで、ここ東京(俺は地方出身者やねん)のM区M署に配属されることとなった。
それまでは、地元の駐在所で日々、地域の人達と交流を深めつつ町の安全を守っていた。
なのに、そこにきて、いきなりの栄転。それも、駐在さんから、いきなり刑事!
俺は不安半分、期待半分だった。「おまわりさん」も俺には似合ってたと自負している。
しかし、「刑デカ事」も捨てがたい響きだ。
なんてったて俺の憧れは、「刑事コロンボ」・・・。あのボロボロのトレンチコート。
同じタイプのものを持っている。そして、ボサボサ頭・・・・。これも俺のトレードマーク。
そんなことをつらつら考えていたら「おい!新人!自己紹介しろ!」と上司の声が飛んできた。

俺は、自己紹介を始めた。これからの抱負。モットー・・・・「というわけで、私のモットーは・・」
「もう宜しい!これから会議に入る!一同、会議室に集まってくれ!」
・・・今、捜査官はあるひとつの山を抱えていた。敏腕刑事たちは鋭い目を光らせながら、会議室へと移動していく。俺も行こう・・・・。
「堂本さん・・・申し訳ないのだが、まず、この一件(ヤマ)に目を通して頂きたいのだが・・・。」
係長に促されて、自分のデスクを案内され席に着く。
係長が持ってきた捜査資料はざっと15~6冊・・・・。それも、一冊一冊がかなり分厚い。
俺は、不謹慎ながら、わくわくしながら目を通していた。
しかし、ページをめくるごとに、どんどん気持ちが滅入っていく・・・・。
「殺人」「人身売買」「臓器売買」「麻薬取引」ありとあらゆる地獄絵図が俺の頭の中を駆け回っていく。しまいには、吐き気をもようすくらいだった。

そこへ、さっきの係長がやってきた。「堂本君、実は、ちょっとお願いしたいことがあるんだが・・・。」
「なんでしょうか?」俺は、白髪交じりのメガネをかけた係長に振り向くと、その「お願い」というやつを聞いた。
「・・・・・分りました。そういうことでしたら、なんとか、お力になりたいと・・・。多少、腕に覚えもありますし。行かせてもらいます!」
俺は、配属初日から、慰問に行くように命じられてしまった。
なんでも、署長の母上様がそこの介護施設で、世話になっているということもあって、毎年恒例ということと、それは新人に課せられる最初のミッションだというのだから驚きだ。
堂本老人介護施設・・・かぁ。
俺は、そこの施設のパンフレット一枚渡されて、早速、署内にある秘密道具一式を確認。
足りないものは○急ハンズに買いに行き、準備万端にして、向かった。
車を運転しながら「しっかし、配属しょっぱなから、なんで俺だけ、こんな・・・。大きなヤマ抱えてるなら猫の手でも借りたいはずなのにな・・・。」
それでも、やっぱり俺は新人だし・・・即戦力としては使えないよね・・・・。
妙に納得してしまったところで、「それにしても、堂本って同じ苗字なんやぁ・・・。理事長さんって、どんな人なんやろ・・・」車を運転しながら、俺はずっと独り言を言っている。
同じ苗字というだけで、こんな気分になるもんなんゃなぁ・・・。遠くふるさとを離れた俺が、大都会東京で、初めて親戚にばったり会ってしまったような・・・・なんともいえない気持ち。
この仕事(?)を引き受けたのも実は、そんノスタルジーめいたものを肌に感じたからだ。
「会ってみたい。」今の俺を走らせる思い。

「しっかしボロイなぁ!!!」
うっそうとした木々に囲まれた「堂本老人介護施設」を前にして開口一番、俺はそう呟いた。鉄筋コンクリート2階建ての、その施設は、どう見ても、お年寄りを支えているようには見えない。
そんな印象を一抹の不安とともに抱きながら硬い鉄の扉を開いた。

ぎっぎぎぎぎーーーーーーーーーーーーー
なんともいえない金属音に、しょっぱなから手痛い歓迎を受けてしまった俺。
広い玄関は、ゆるやかなスロープになっている。
玄関のブザーを鳴らすと、俺と変わらないくらいの年齢と思わせる若く美しい青年が俺を迎えてくれた。
その人が、ここの最高責任者である堂本理事長と知ったのは俺が演目をやり終えて彼がお礼を言いに来て「これから所要があるので・・・」と立ち去った後姿をぽーーっと見送ったとき。
「理事長、お気をつけて」と若いスタッフが声をかけ、その言葉でハッと振り返り彼の姿を追った。でも・・・・時すでに遅しだった。



「屋良っしゃい!」というふざけたネーミングの事務所。何軒も連なる雑居ビルの中の、ひときわ目立つ看板に、通り過ぎる人は失笑。
4階建てのグレイの雑居ビルの中の事務所は、光一の闇の顔の一部。
彼の息がかかっている。その中に、屋良を初めとした光一の頼れる仲間(メンバー)がいた。
ここの事務所は泣く子も黙る高利貸し・・・所謂、ヤミ金である。そこを任されているのが屋良その人である。
事務所は意外にも整然と綺麗に整っている。ここのシマを取り締まるドンでもある光一が、闇だからこそ、綺麗なものに関わることが、やみ社会の男の美学だというのが持論。
ソファーは茶色の革張りの応接セット。部屋の片隅には、大きく葉を茂らす立派な観葉植物。
その脇にはメンバーのロッカー。その隣には木目の重厚なドア。
「社長室」という金のプレートの横に、「俺様の部屋」と落書きがしてある。
大きなデスクには小さな屋良が計算機を片手に帳簿をにらみつけている。
「おかしいなぁ・・・・」
さっきから同じ事を呟いている屋良に対して、秋山が「チビ・・・どうしたんだぁ?」と声をかけると、屋良は「いえ・・・・なんでもないから大丈夫」と言って、また計算機をカタカタ鳴らし始める。
そうこうしているうちに「ピンポーン♪」というチャイム。
中にいるものは誰も応じない。がちゃ・・・いきなり入ってきたのは花屋の米花だった。
しかし、その顔はいつもの陽気な彼ではなかった。
「すまない!皆!今からガサ入れがあるみたいなんだ!」
事務所にいた、秋山、屋良は一瞬にして凍りついた。
そこへ、「米ちゃーーーん!!今の話、本当だろうなぁ!!!!!」と社長室の扉をばーんと開け放ちながら、のっしのしと米花に近づく。
「情報屋のお前が今まで、何してたんだぁ?あーーーーーーぁん?!」というと米花は必死に事情を説明しようと試みた。
屋良は、そんな熱い男・長瀬をじとーーーっと見つめ一言「この大馬鹿やろう!」といった。
米花に向けた怒りの矛先が今度は屋良に向いた。
「落ち着いてくださいよ・・・」そういうと、秋山が携帯で光一に連絡をとっている姿がある。
「俺たちがビビッて、どうするんすかぁ?とにかく今は、様子を見ないと」
「おおお・・・。そうか・・・そうだな・・・」長瀬が納得した様子で、振り上げたこぶしを静かに下ろした。

秋山からの一方に光一はすぐ行動を開始した。もう昼時で光一たちスタッフは、お年寄りの昼食の準備に追われていた。光一は料理は得意なほうではないが、なんとか野菜を洗うとか後片付けをしながら作業の段取りをしていく。今は、大学生のボランテイアも4人来ていてくれるから、とても助かるのだ。
秋山からの電話を冷静に聞くと、光一は着替えるために傍で、ジャガイモを切っていた田口に後を頼むと田口は不安そうに光一の顔を覗き込んでいた。
「田口くん・・・・その包丁・・・・俺に向けるの、やめてくんない?」にっこり微笑む光一。
あ!小さい声で、田口は包丁を引っ込めた。「すみません!」田口の言葉を黙って受け止め、光一は自室へと急いだ。
そこで光一は、あるところへ電話をしていた。
静かだが、とても威厳のある話しぶり・・・・。「では、そういうことで・・・何卒よろしく。」
ゆっくりと受話器をおろすと、クローゼットを開いて着替え始めた。

この記事へのコメント

モモ
2006年12月09日 17:19
剛くん「おまわりさん」の響きぴったりですね!なぜか頭の中で「犬のおまわりさん」が流れております♪
光ちゃんの表の顔は、老人介護施設の理事長さんなんですね!かたぎの世界では、にっこり微笑んで穏やかなのに、闇の社会に戻ると、表情が一変してしまう…。やはり、相当な過去をお持ちのようですね。
剛くんと光ちゃんがどんな風に絡んでいくのか今からワクワクです!
ボランティアの文字に親近感☆モモもここでボラしたいです!
2006年12月09日 21:47
剛くんは親しみ易い町のお巡りさんが良く似合いそう♪きっと人気のお巡りさんだったんだろうなぁ。それは地元の皆が寂しがったことでしょう。
そうなんだ…光一氏の表の顔は堂本老人介護施設の理事なのね。へぇ~そんないい事をしているのに…どういう経緯で闇の社会にいるんだろう…どうして表の顔だけではいけないのだろう…謎多き…光一氏…。彼の過去が気になるぞぉ。
「屋良っしゃい」なんて…とっても軽いネーミングね。とても闇な社会とは思えない事務所名…。居酒屋さんかなんかかと思った(爆)でも、なんか屋良くんらしいかもぉ。
愛戦士桜
2006年12月09日 22:13
剛刑事 登場ですな~♪しかもいきなりコウイチさまと出会っているじゃないですか☆わくわく☆
もう超豪華なメンバーが出まくりで ハラハラしながらも顔はニヤニヤわけわからん桜になっております☆いろんな顔を持ってるコウイチさま ステキです~☆「屋良っしゃい」てチビにゃん同様、仕事の中身とのギャップが面白いね!
SHINE
2006年12月09日 22:50
>モモちゃん
そうですね。闇社会に入ったことには彼の哀しい過去に関係します。
仇討ちですね・・・。これがヒントです。彼の過去の重要なポイントとなります。剛くんとの絡みが難しいですね?光一は賢い人なので絶対、闇社会の人間とは気づかれないように生きています。だから、危険な人物との接触はなるべく避けるはずなのですが・・・なぜ、こんな運命になってしまったのでしょう・・・。それは、後のお楽しみです。
SHINE
2006年12月09日 23:05
>チビにゃんちゃん
「屋良っしゃい!」は確かに私も、居酒屋か!?と笑えました。
光ちゃんの過去が、ちょっとヘビーなので、せめて、このメンバーに救われてほしいという願いもあります。だから、メンバーは闇社会に生きていながら心は誰よりもピュアだし、ボスである光一には忠実。
それも光一の人徳なんですよね。
謎は多いです。でも・・・単純なんですよ?
光一は闇社会の人間であると同時に表では老人介護施設の理事。
だから、秘密は守り通すのが、仇討ちの為のセオリーです。
でも、光一は賢いのに・・・書いてる私がバカだから、どうしよう!と窮地に立たされる場面もあります!(苦笑)
SHINE
2006年12月09日 23:18
>愛戦士桜ちゃん
そうなんですよ~ん。二人の出会いは果たして吉と出るか凶と出るか?
豪華メンバーの今後のラインナップをUPします♪
田口くんが出てきたからには・・・そうです学生ボラの亀梨くん・中丸くん・田中くん・上田くん。ちなみに田口くんは職員です♪
仕事はね・・・資金源とはいえ、そんなに悪徳ではないんですよ。
ただ、長瀬くんがねぇ・・・ちょっと問題児なんですが屋良くんが、いい感じでフォローしてくれるから★
そういえば、町田くんの登場が・・・と思ってる人いませんか?
まだ、ちょっと先になります。でも、今のところ5話完結予定なので、ちょっと長文になると思います。
懲りずに、お付き合いくださると光栄です♪
2006年12月10日 16:09
うん。愛しのマーチンがまだだなーって思ってた。顔のないスパイ。と
勝手に想像して楽しんでいます(凄腕ってことよ♪)剛さんは刑事役に
向いていると思うな。ものすごーく頭が良さそうなイメージあるよ。
ガサいれに大慌てするメンバーの様子がめっちゃリアルですー!
SHINE
2006年12月10日 18:43
>Rainちゃん
マーチンは、なかなか食えない人として描かれています。
すごい役者だなぁって思えるほどスゴイ人かと・・・。
光一の参謀でもあるので・・・。今は、彼は潜入捜査(操作ともいう)をして敵の寝首をかく準備をしてくれてます!
ガサいれのシーンは私も面白く描きたかったとこです。
Rainに楽しんでもらえて、光栄ですわ♪

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